護畜犬 カスティエル & ペーハ

前にカンガル犬(Kangal Dog)、ペーハの事を書いていたとき、カンガル犬を飼いたいと思ってた方もいらっしゃったようです。
我が家にいた時のペーハ, Peh-ha
 ペーハは『護畜犬』
率直に言って、
お勧めはしません。
ペットとしては・・・です。
どうしてか…というのを含め、『護畜犬』の話をしたいと思います。

護畜犬・・・・・ 
日本ではあまり馴染みがない言葉ですよね。多分・・。
「牧羊犬とは違うんですか?」 
とか
「どう言う犬ですか?」 
とか
聞かれたりします。

英語では “Livestock Guardian (又はProtection) Dog”(略してLGD) (以下、LGD)と言います。(アメリカではLGDと聞いて、上記のような質問をする人はまれな気がします。日本よりはそれがどう言う犬かを理解しているって事でしょうか?)

つまり家畜を守る犬です。日本で言うと牧畜犬、又は牧羊犬のカテゴリーの中の『家畜護衛犬』とでも言えばいいのでしょうか。私も日本語にするのにあたって、どう言ったらいいのか迷ったのですが、あるネットでこの種の犬種を『護畜犬』と呼んでいたのをみて、それ以来、『護畜犬』にしています。

ペーハは諸事情により2年前に我が家を離れ、今は山羊の牧場を経営する友人の家で、りっぱに護畜犬の役目を果たしています。先日は、狼を牧場から追い払ったそうで、現在の飼い主である友人のアーンから喜びの電話をもらいました。

 そして、今うちにいるカスティエルは『トルニャック(Tornjak)』と言う東ヨーロッパに古い歴史を持つ 護畜犬です。
カスティエル, Castiel
間違いやすいのは、『護畜犬』と言うのは、警察犬 麻薬犬 聴導犬 盲導犬 のようにその仕事をする犬、を意味しているのではありません。
わかりやすく言えば、ハーディング(羊や牛などの家畜を人が指示する通りに動いてまとめて囲いに追い込む仕事)をするので代表的なのがボーダー・コリー。
他に、コリー、シェルティー、コーギー、 キャトルドッグ等々。
そして、家畜を外敵から守るのが、LGD犬種で、日本で馴染み深いのは、グレートピレニーズではないでしょうか?
つまり、何百年も前から その遺伝子を受け継ぎその特定な仕事をする為に生存している犬種です。
だから、防備力は抜群でも、ロット・ワイラーやジャーマン・シェパードは 護畜犬にはなり得ないのです。

LGDには、前記したカンガル犬の他に同じトルコ原産の、アクバシュ、アナトリアン・シェパードや、セントラル・アジアン・シェパード。ヨーロッパの方からは、トルニャック、マレンマ、クーバス、グレート・ピレニーズ、コモンドール等々、多くの犬種がいます。
上記にあるようなLGD同士のミックスもLGDとして働く事は出来ますが、片方がLGDでない親から生まれた子たちは、LGDにはなりにくい結果が出ているそうでアメリカでは認められません。つまり、狼犬と同じで、両方の気質を持ち合わせているのでその行動を見極めるのが難しい、と言うことだからです。


ちょっと話はそれますが、ある学者が犬の知能指数の話をしてから犬の中で一番頭がいいのはボーダーコリーだと言うのが海外含めて世間一般の話になっていますね。
確かに『頭がいい』とは思いますが、その理由の多くは、飼い主に忠実で常に飼い主からの指示を待ちそれを理解して動く・・と言うところだと思います。
純血種は人間が目的を持って作った犬ですから、それぞれの犬種にそれぞれの賢さがあると私は思ってます。
そう言う中で、LGD犬種には知恵があると思います。
LGDの特徴のひとつに、自分で考えて行動をする、と言うのがあります。これは自立心が強い、と言うことで、別の言葉で言うと、頑固だと言うことです。

私のカンガル犬仲間の話をご紹介すると、数頭で家畜の番をするカンガル犬たちは、人間が気づかないフェンスの弱い場所を知っていて、捕食動物がやってくるのを察知すると、1頭はその場所へ行き、捕食者から家畜を守り、他の者が捕食者を追い払う、と言う動きをするんだそうです。
仲間のマレンマ(右端)と仕事(家畜護衛)するペーハ(寝てるけど

知人の家のマレンマ?アクバシュ? イベントで大勢の人がいたので警戒態勢
そんな気質を持っているので当然、飼い主は大型犬飼育経験者、強いリーダーシップをもっていないとついてきません。

日本にいる時に、多摩センターにあった施設でアナトリアン・シェパードを見て以来、アナトリアンの大ファンになった私なのですが、たまたまそこの施設で働いていた人と知り合いになって聞いたのですが、その犬、確かオスカルって言うんじゃなかったかな?が、攻撃的なので特定の人しか扱えず、隔離状態で鎖につながれていると聞き、残念に思ったのを覚えています。
その施設が閉鎖になり、ひょんなことから、その子を引き取った人と会うことが出来ました。しかし、彼女のお腹にはストレスからだろうと思われる、大きな腫瘍が出来ていて、もう手術もままならないのでそのまま看取るつもりだと言ってました。

これは、噂で聞いた話なのですが、コーカシアン・シェパードだったと思うけど、飼っている人がいて、危険だから散歩はいつも人や犬が歩いていない夜にしてたそうです。
力が強く、LGDの中でも防御の本能が強いとされてる犬種です。どうしてそんな犬を街中で飼育できると思ったのか、リサーチはちゃんとしたのだろうか?と色々と考えましたが、当時は私もLGDについて詳しくは知りませんでしたからコーカシアン・シェパードは『危険で攻撃的な犬種』と言うマイナスイメージを持ってしまったのです。

他にマレンマを飼っている人もいました。飼い主さんには1度お目にかかったことがあります。とても穏やかで優しい方でしたが、そのワンコはもろに、防御態勢になるから触らず、接近せず・・と言われました 

LGD犬種ってやっぱり危険な犬種なのかな?と言う印象を持ちつつも、渡米して野生動物と共生していかなくてはいけないここらではLGDが欲しいな、と言うのでカンガル犬を候補にあげました。話がトントンと進んで、ペーハが来たわけです。

カンガル犬は他のLGD犬種よりも人に友好的だし、遺伝的な問題も少ないし・・・と言う具合にリサーチをしたはずなのに 、ひとつ見逃してました。
LGD犬種には、グレートピレニーズやマレンマのように大かたは家畜と一緒にいるタイプとトルコ系のカンガルやアクバシュのように辺りを歩き回ってパトロールをするタイプがあったんです。ペーハはその中でもとても脚力の強い個体で高いフェンスも平気で飛び越えて行ってしまう子でした。
なので、今回は、パトロール系でないトルニャックを迎えました。
トルニャックは護畜犬の中でもトレーニングが入りやすいとも言われています。

護畜犬で共通していることは、自立心があると言う事の他にも、ほとんどが夜によく吠えます。これは、何か気配があると守りの体勢に入るので仕方がないことだと思います。その代り昼間はあまり吠えず寝ています
後は、運動ですね。本来の家畜を守る仕事をしないで、ペットで飼う場合は、運動・・つまり散歩を沢山させないと問題行動が確実に起こります。
ドッグランへは連れて行かない方がいいと思います。彼らは大型犬ですが、かなり機敏でドッグランの柵を飛び越えたり、乗り越えたりする可能性は大いにありますから。
ホラ、自立心が強いから、呼んでも言う事を聞かない場合もありますしね

長くなりましたが、そんな護畜犬です。
はっきり、きっぱり言ってしまうと
余程の覚悟と犬の為に費やす時間がない都会暮らしの方はやめた方がいいと思います
 
とは、言うものの、私の友人は東京の郊外に住んでいて、アナトリアンを飼っています。
散歩はかなりしてるそうですし、遠出する時はいつでも一緒に連れて行ってます。
とても人懐こくてナデナデされるのが大好きだそうですよ
夜も家の中に入れてるので、吠えることもないようです。
彼女は、小さな子供2人のお母さんですが、手抜きしないでアナトリアンと暮らしています。
要するに、やっぱり犬を迎える方たちの強い思いと責任感でしょうね。






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